基礎からわかる 論文の書き方
小熊英二(著)
/講談社現代新書
作品情報
学問の「型」を理解すれば、勉強はもっと楽しくなる。
社会人にも役立つ、大学の双方向授業をもとにした「論文入門」の決定版!
「この型式に沿って書かないと、評価されません。」
学生の興味・関心を的確に導く。
圧倒的な筆力を持つ社会学者・小熊英二による論文作法。
「人間は不完全だから進歩するし、努力する。
そして、人間が一人でやれることには限界がある。
だから書いて、公表し、他人と対話する。
そのように、私は考えています。」(本文より)
◆アリストテレス『弁論術』に学ぶ説得の技法
◆「結論を先に言え」は古代からあった
◆人文・社会科学はなぜ「科学」なのか
◆「霊魂」「意志」「社会」という不確かな前提
◆「主題」と「対象」を混同しない
◆画期的な研究を行うためのヒント
◆論文における「よい文章」とは?
◆方法論は「料理のレシピ」
◆「パラグラフ・ライティング」のコツ ……ほか
【本書の構成】
はじめに
第1章 論文とは何か
第2章 論文と科学
第3章 主題と対象
第4章 はじめての調べ方
第5章 方法論(調査設計)
第6章 先行研究と学問体系(ディシプリン)
第7章 方法(メソッド)
第8章 研究計画書とプレゼンテーション
第9章 構成と文章
第10章 注記と要約
第11章 校正と仕上げ
おわりに
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商品情報
- シリーズ
- 基礎からわかる 論文の書き方
- 著者
- 小熊英二
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社現代新書
- 書籍発売日
- 2022.05.18
- Reader Store発売日
- 2022.05.18
- ファイルサイズ
- 5.9MB
- ページ数
- 480ページ
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この作品のレビュー
平均 4.6 (22件のレビュー)
-
良書 論文とは何か、どういう構成で、どう考えて、どう描くかが丁寧にかかれています。
論文の構成、記述だけでなく、人を説得する技法として、テーマの選び方から、調査、そして、その記述までが平素な言葉でつづ…られています。
気になった点は以下。
・論文は①主題提起、②論証、③主題の再構成という構成が古代ギリシャから唱えられていた。
・古代ギリシャの構成が原型となっていて、現代アメリカでは、①序論・②本論・③結論というエッセイが教えられている。
・論文とは「人を説得する技法」である
・論文は、自然科学と人文科学とでは、若干構成がことなる。自然科学では、序文、対象と方法、結果、考察の四部構成となる。
・論文には、実験の結果だけでなく、過程も記録して保存し、公開する。他の人が同じ実験を繰り返して追試することが可能です。そのことを、再現性の確保という。
・人文科学の論文では、結果にあたる部分が長い。過去の資料を記述し、分析や検討をしていく過程が自然科学や工学系より長くなるためです。
・論文は、「実験/調査型」「試料分析型」「理論型」「複合型」
・資料について、自分が調べたものを「一次資料」、他人が調べたものを「二次資料」という
・問題となるのは、その論文にて問いたい「主題」は何なのか、調査する「対象」はなにかのかをはっきりすることです。
・主題と対象を設定するなら、調査の方法もある程度きまってきます。
・いまの大学で教えられている学問の主流は、経験的に観測できる対象から、観測できない主題を追求する学問です。
・主題設定は、「問い」の形で立ててみるとよい。
・主題は、抽象的な問い、対象は具体的に調査できるもの。
・先行研究を探すには、漠然とした関心でよいので、それに関係した「研究」を何か一つさがしましょう。
・主題や対象がある程度固まってきたら、手に入れた研究書や論文が言及している先行研究を、どんどん集めましょう。そして、集まった研究書や論文が言及している先行研究をまたどんどん集めましょう。
・少なくとも、論文で、Wikipediaを典拠に使うことは不適切とされています。
・方法を組み合わせて、調査全体を設計していくことを、方法論、もしくは、サーチ・デザインという
・見えたり聞こえたりした事象から、見えたり聞こえたりしない因果関係を推論することを、「因果推論」という
・調査設計する方法は、仮説検証型と、仮説生成型とがある。
・調査設計は、①探索、②記述、③比較、④因果の大きく四段階に分かれています。
・パラグラフライティングには、記述パラグラフ、比較パラグラフ、因果パラグラフがある。
・調査には、文献の先行調査による「事前研究」か、実際に調査を行う「サーベイ」がある
・「学」とは、ある前提をもとに、論理的な認識を行うこと。前提が変わると学問体系が変わる。これを「パラダイム転換」という。
・前提が異なる「学問」同志で議論することはむずかしい。学問体系が違うと使う理論も、方法論も違うことが多い。
・調査には、量的(定量)調査と、質的(定性)調査がある。
・認識論に対して、客観的に認識できるという実証主義と、主観的解釈を重視すべきとする解釈主義とがある。
・質的調査の方法 ①インタビュー、②オーラルヒストリー、③会話分析・言語分析・ナラティブ分析、④フィールドワーク・エスノグラフィ、⑤アクションリサーチがある。
・論文を作成にするにあたって、研究計画書を作る。
・パラグラフと同様、文章も、「一文一内容」にした方がわかりやすい
・複雑な論文を書くときは、構成表を書いてから、それから書き始めるのがよい。そして、カードに書いて、何度も並べ替えるのもよい。
・論文のレファレンスや注釈の方法は統一されていない。シカゴスタイルや、オクスフォード、ハーバードなどのやり方がある。
・構成がきちんとしていれば、そのまま要約を作れる
・論文の審査も校正も流れはいっしょ
①主題・対象、方法が設定されており、お互いに整合しているか
②既存の先行研究や学問体系との関係が十分に検討されているか
③明確な論拠と、明確な論理によって、論証がなされているか
④設定された主題に即した結論に導かれているか
⑤検討された先行研究の学問体系に対する貢献を明らかにしているか
⑥論文の文書として基本的な質が保たれているか。
目次は次の通り
はじめに
第1章 論文とは何か
第2章 科学と論文
第3章 主題と対象
第4章 はじめての調べ方
第5章 方法論(調査設計)
第6章 先行研究と学問体系(ディシプリン)
第7章 方法(メソッド)
第8章 研究計画書とプレゼンテーション
第9章 構成と文章
第10章 注記と要約
第11章 校正と仕上げ
おわりに
参考文献続きを読む投稿日:2022.06.05
論文の書き方のみならず、その歴史的変遷や存在意義も含めて広く議論していてとても面白い。ジャーナリストの書く記事は、良し悪しはともかく出典が明記されておらず(インタビュイーの個人情報保護などのため)、読…者が追試可能なようにはそもそも書かれていないことを理解する必要がある。ここを理解していないと、ジャーナリズムに対して引用が無いとか根拠が無いみたいな無意味な突っ込みどころに気を取られてしまう。相対して、論文は追検証可能性が大事ということになる。
論文の章構成としてはほぼ思考停止で、アブスト・イントロ・方法論・結果と考察・結論という風に認識していたが、それはそもそもIMRAD形式と名前が付いていて、自然科学でよく用いられるが、種々の論文スタイルの一つでしかないことを初めて知った。
著者は自然科学系を経験した社会科学者という背景のため、文理の論文スタイルを両方経験してきている。文系のより多様な論文スタイルは実際に読み込んでみたい。面白そう。続きを読む投稿日:2024.02.26
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