聖子――新宿の文壇BAR「風紋」の女主人
森まゆみ(著)
/亜紀書房
作品情報
太宰治「メリイクリスマス」のモデルとなる凛とした少女は、生涯かけて人びとに、居心地のよいサロン、帰る場所をひらいた――
文学者、思想家、映画人、出版人たち……どんな人をも受け入れる酒場は、戦後文学史を確かに支えた。林聖子の九三年と「風紋」の六〇年を聞く。
アナキストの画家の娘として生まれ、宮嶋資夫、辻潤らを間近に育ち、戦後、太宰治の「メリイクリスマス」のモデルとなり、生き抜くためにバーを切り盛りする。
そのバー「風紋」は多くの文化人、文学者、映画人、出版人を惹きつけた。
誰も特別扱いしない無欲で無私な人柄から生まれたアジール。
檀一雄、竹内好、古田晁、浦山桐郎、粕谷一希、勅使河原宏……綺羅星のごとく集う人々との交友録であり、力強く生きたひとりの女性の人生の記録。
《「風紋」に集った人々》
檀一雄・古田晁・唐木順三・井伏鱒二・吉村昭・木山捷平・竹内好・橋川文三・色川武大・埴谷雄高・中村稔・安田武・北原武夫・辻まこと・鴨居羊子・松山俊太郎・種村季弘・高田宏・粕谷一希・田村隆一・中上健次・洲之内徹・浦山桐郎・大島渚・吉田喜重・勅使河原宏……
【もくじ】
第Ⅰ部 戦前篇
1……林倭衛、画家を目指す
2……出獄の日のO氏
3……林倭衛、クライスト号でフランスへ
4……大杉栄、パリに現れる
5……セザンヌのアトリエ、エクス・アン・プロヴァンス
6……秋田富子と結婚、聖子が生まれる
7……伊豆静浦から小石川小日向水道町へ
8……もう一人の画家・硲伊之助のこと
9……宮嶋資夫と度重なる引っ越し
10……母はサナトリウムへ
11……父の死
第Ⅱ部 戦後篇
12……太宰治との出会い
13……玉川心中
14……出英利のこと
15……「世代」と出英利のあの頃
16……舞台芸術学院と青俳、「宏くん」のこと
17……新宿でバーを開く
18……ダン街道――檀一雄と第三風紋まで
19……カウンターの中の女性たち
20……竹内好墜落事件と火曜会
21……風紋課外部――スキーにゴルフに温泉に
22……最終回――嵐のあとに
■あとがき
■林倭衛・林聖子のまわりの人々
■林聖子関連年表
■参考文献
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商品情報
- シリーズ
- 聖子――新宿の文壇BAR「風紋」の女主人
- 著者
- 森まゆみ
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 亜紀書房
- 書籍発売日
- 2021.10.23
- Reader Store発売日
- 2021.11.05
- ファイルサイズ
- 12.6MB
- ページ数
- 304ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (4件のレビュー)
-
洋画家・林倭衛の娘として生まれ、伝説の文壇バー「風紋」のママとなった
林聖子。
昭和3年生まれの彼女が関わった人々が、そのまま昭和から令和へとつながり
すさまじい面々。
この人の伝記をまとめるのは、森…まゆみさんしかできないだろうな~
紙の柱を立てなければ忘れられてしまう・・・というようなことを
森氏が書かれていたけれど、ほんとうに、その通り。
時代を生きた人々が忘れられてしまうだけなら、まだしも、
歪曲されて埋もれてしまうのは、たまらない。
林氏の人生はもちろんのこと、さすがの森まゆみ氏。
あ~聖子さんって、義両親と同い年か・・・
あの二人も健在、一筋縄じゃいかないわけだ。うん。
追記:
この本から広がって、多摩川を眺めてきましたw
→多摩川から~読書と歴史のことなど
https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/aaa356be06cdadec5187fed4b6a8dba9
さらに追記(4月17日)
林聖子さんが今年2022年2月23日に、お亡くなりになったことを知りました。
ご冥福をお祈り申し上げます。続きを読む投稿日:2021.12.05
人の歴史が、いっぱい積み重なっている。
真実を探り当てたというような本ではない。
しかし、聖子さんの周りに登場する人々の多彩さにはずっと驚かされた。
投稿日:2023.01.19
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