子どもを生きればおとなになれる―「インナーアダルト」の育て方
クラウディア・ブラック(著)
/アスク・ヒューマン・ケア
作品情報
人の責任まで背負い込んで人並み以上にがんばろうとするのではなく、「自分自身を幸せにできる人」が本当のおとな。
そのためには、子ども時代の痛みを癒し、過去のパターンから抜け出すことが必要です。
AC(アダルト・チャイルド)概念の生みの親、クラウディア・ブラックが経験のすべてを注ぎ込んだ一冊。
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この作品のレビュー
平均 4.7 (12件のレビュー)
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アダルトチルドレンの治療本。
まず自分の痛みにすら気づいていないアダルトチルドレンを、小さな歩みと共に前進させる。
前回アダルトチルドレンについての本を読んだのが2ヶ月くらい前だったので、その間に自…分の中で変化があったのか、前半の「何が痛みかを知る」「痛みを認める」のフェーズよりは後半の「取り込んでしまった信念に挑む」「新しいスキルを学ぶ」の方がスッと入ってきた。
特に何をしたということもないのに、知らぬ間に自分の中で何かが進んでいたようだ。
特に人と関わる際には親密度のグラデーションがあることや、他者と生活を共にすることはあらゆる感性を共有することではないという言葉。これ、すごい発見だ〜。そうなんだ。知らなかった。全てにおいて自分と同じ感想を持ってほしいと思っていたな。
人を許すということについて、「大目に見ることではない」「相手を免責することではない」「自己犠牲ではない」「そのことについて二度と怒りを感じないということではない」とあった。なるほどな〜。
わたしはこれまで許すというのは何か得体の知れない感じがして、誰かを許したことは無かったけど、こうやって細かく構造を分析して教えられると、わたしにも出来るかな?と思えてくる。すごくいい。続きを読む投稿日:2021.04.22
『愛されなかった時どう生きるか』に繋がる点が多かった。こちらも答え合わせになった箇所の抜粋。
機能不全家族で育ったACは「子供を生きる」ことができなかったために、大人になりきれないことが多い。
AC…は愛され関心を注がれながら自分の感情をありのままに受け止め、自分に必要なことを周囲に要求する練習が子供の頃にできなかったために、自分の感情や望みを深くしまい込んでしまったのである。
ACは心の中に慢性的な喪失を抱えているが、自分が何を失ったのかはっきり気付いてなく、そこにあるのは漠然とした虚しさ、何かが足りないという感じ、今の自分ではダメなのではないかという不安である。これらは何か別のものや人で埋めようとしたり、必死に大丈夫なふりをしてみても消えないので、失ったものの正体を知ることが必要である。
これまで長い間①否認(「話すな」「感じるな」「信頼するな」のルールを教え込まれ、自分が感じたことや受け取ったことを大したことではないと捉えることであり、防衛のメカニズム)②孤立(前述ルールにより情緒的な孤立の中で生きることとなる)③硬直性(厳格な家庭での〜すべきという押し付けであり、自主性や自由は奪われるためここにも前述ルールが存在する)④シェイム(親からの拒絶により自分自身を欠陥品と捉える感覚)により、その正体は見えないものとなっていたのである。
子どもは、ただありのままの自分として大切にされる権利や、親の喪失を埋め合わせるための存在ではなくその子自身として慈しんで育てられる権利、無条件に愛される権利を持って生まれてくるはずなので、これらの権利を奪われてるということは見捨てられているということである。この見捨てられる体験は、自分自身やこの世界を「いいものだ」と感じる力を著しく損ってしまう。
いくら親が間違っていようとも、子どもは親の行動が間違いだとは考えないのである。自分にとってどうしても必要な存在である親を拒否することはできないので、その代わりに子どもは自分が間違っていて自分が悪いんだという重荷を背負いこむ。そうすることで、親の間違いをなかったことにし、少しでも安全を感じようとするのである。
痛みから自由になるためには、一度過去の痛みの中を通り直す必要があり、過去を探り過去と現在の繋がりを探る必要がある。
見捨てられ感や怖れを感じた時、子どもは愛される存在でいようとする。それは他人の基準に合わせること、つまり自分の感情を切り捨てて他人の意向を優先することである。これは、自分を防衛することから自分を癒すことへとコースを切り替えるまで、大人になってもずっと続くのである。
見捨てられ感を味わった子どもは自己否定を心に刻み、他人が正しく自分は間違っているという認識を持つので、他人の理不尽な行動にも耐えてしまい、相手の望みに合わせてしまい、相手に従ってしまうので支配被支配の関係を築いてしまう。
一方、他人と付き合おうとしなかったり、自分が犠牲者であることを周囲にアピールする場合もある。自分はこんな酷い目にあってきたと訴え、犠牲者でいることが生き方そのものになっている。
痛みから楽になれることを期待し、〝何かに依存する「自己治療」〟を行うこともある。食、ニコチン、アルコール、ドラッグ、セックス、人間関係への依存(他人の利用)等。
これまで述べたように痛みをコントロールすることに一生懸命になる人もいれば、痛みを生み出す状況をコントロールしようとする人もいる。
よくあるのが、完璧に行動していれば誰からも批判されないし、そうすればこれ以上傷付く理由はなくなるはずだという考えに基づいた「完全主義」である。ただこの自分はこれで良いと感じられるようにして痛みの原因を減らそうとする戦いには限度がないので、本当に必要なのは自分の価値に気付き、自己否定からくるメッセージに反論することなのである。
痛みのない自分になるには、痛みの存在を認め、感情と向き合うことが必要である。悲しみ、傷付き、怖れを自分のものとして受け止め、そのようにして生きてこなければならなかったことへの怒りを受け止めることである。
痛ましい現実に向き合うことを避け、今の人生にとどまり続けるということは、自己否定と痛みの中を生きていくという重荷を将来の自分に背負わせることである。
前に進むためには過去を終わらせる必要があり、それは自らの記憶から消し去ることではなく個人史の重要な一面としてあるべき場所に位置させることである。それができればいずれ過去の痛みに敬意を払えるようになり、自分の体験を苦闘しながら人生を切り抜け成長してきた重要な一部として大切に思えるようになるだろう。
自分の痛みをどうするかは、自分の選択に任されているのである。
回復を始めるにあたって、過去について語ることが重要であり、その目的は、それをきちんと過去のものにするためである。人が過去を探るのは、それを誰かのせいにするためではなく、真実を発見し認めるためである。過去に起きた特定の出来事を振り返ることは、物事の見方を転換させるきっかけになる。例えば親が怒って自分を叩いたケースでは、子どもの見方からすれば自分が悪かった至らなかったために親を怒らせたんだとなるが、大人の目で見直してみれば親は自分自身に腹を立てていたのかもしれないし、失業したことで頭にきていたのかもしれないと考えることができる。振り返らなければ事実を当時の認識のまま誤認し続けることとなるのである。
過去にまつわる感情を感じ、語るためには「普通」を知っておく必要があるが、問題を抱えて育った人はそれが分からないことが多い。例えば悲しい時に涙が出るのは「普通」だし、自分の感情はどれも間違ってないしちゃんとした理由がある。自分と似た体験について聞くことや、そうした体験が綴られた本を読むことも必要で、それらは自分自身の体験を理解し語るための言葉を与えてくれる。
過去の痛みを通り直すには、自分と他人(カウンセラーや友人等せめて一人は)への信頼も必要だが、子供時代に人を信頼し裏切られてきた人は信じることを恐れるようになり、自分にとって大切な相手を信頼しようとした時に起こる感情と格闘するのに時間がかかる。だが、それを通ってこそ子供の頃の自分を受け入れ、確認することができる。続きを読む投稿日:2023.07.23
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