本にだって雄と雌があります
小田雅久仁(著)
/新潮文庫
作品情報
本も結婚します。出産だって、します。小学四年生の夏、土井博は祖父母の住む深井家の屋敷に預けられた。ある晩、博は祖父・與次郎の定めた掟「書物の位置を変えるべからず」を破ってしまう。すると翌朝、信じられない光景が――。長じて一児の父となった博は、亡き祖父の日記から一族の歴史を遡ってゆく。そこに隠されていたのは、時代を超えた〈秘密〉だった。仰天必至の長編小説!
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商品情報
- シリーズ
- 本にだって雄と雌があります
- 著者
- 小田雅久仁
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2015.09.01
- Reader Store発売日
- 2016.02.19
- ファイルサイズ
- 0.9MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (45件のレビュー)
-
いやー面白かった。もっともっと読んでいたいくらいこの物語の世界にどっぷりとハマった。声に出して笑ったし、頭の中で色々とツッコミたくなるようなことが満載だし、ちょっと涙を堪えないといけないような展開もあ…るし、深井家は最高です。
「あんまり知られてはおらんが、書物にも雄と雌がある。」
タイトルからしてそうなのだが、始まりの一行がこの書き出しでは、興味を掻き立てられないわけがない。仮に面白くなかったとしても、個人的には最後まで読み通したい気になる。ただ、1ページ読み始めるだけで、面白そうだというのは確定した。まだ未読の方は公共の場で読む際にはお気をつけください。思わず声を上げて笑ってしまったり、無意識に独り言でツッコんでいるかもしれませんので。
物語は幻の本を蒐集する深井家三代を中心に描かれる。学者の深井與次郎を主にして、その孫の博が息子の恵太郎に向けた手記を語るように進んでいく。與次郎の人生、妻である画家のミキ、四人の子とその孫、本の生態や幻の本の秘密、太平洋戦争や日航機墜落事故、実際の出来事や人物も織り交ぜながら一族の波乱万丈な人生を知ることになる。中盤までは話があっちこっち飛びながら家族の紹介が続くのだが、名言と迷言と傑作と駄作の綯い交ぜみたいな手記になっており、控えめに言っても最高だと感じる(私的に)。しかし、中盤以降、與次郎の人生の最重要事項と思われる内容や幻の本についての内容が語られるあたりからグッと物語の密度が上がり、もうここからはずっと深井家と共にいるかのように心から離れない。最後まで驚きとホッコリが満載で、深井家のことは忘れないだろう。
ちなみに、作中の博が初めて目にした幻書は『はてしなく壁に嘔吐する物語』。サルトル『嘔吐・壁』とエンデ『はてしない物語』から産まれたようだ。読みたくない。続きを読む投稿日:2023.04.02
読み通すのはなかなか大変。全編、語りかける手記という形をとっていて、それがほとんど語り手自身ではなく祖父やその周辺人物についてなので、又聞きの距離感から淡々とした雰囲気になる。
しかし読み進めればかな…りおもしろい。本と本が隣り合ったことで時々生まれる"幻書"を軸に、與次郎の一生――終生のライバル釈苦利や、愛妻ミキの話、ボルネオでの過酷な戦争体験、そしてその死に様まで――が延々と語られる。起伏の激しい人生そのものもさることながら、時折出てくる妙に説得力のあるたとえやリズムがどうにも可笑しくて、つい先へ先へと読んでしまう、といった感じ。
「その独特の笑顔には、麩を喰いに上がってくる鯉がくしゃみしたような鼻ぺちゃ離れ目をひっくりかえしてジャラジャラお釣りが来るほどの愛嬌があった。」
喚起されるイメージもなかなか豊かで、脳裏に浮かぶ白い象やら空飛ぶ本やらアヤシイおじさんやらといったものたちの鮮烈な印象が、語りの単調さを補って余りあるとも言える。
「地球を飛び立ったエヴァニ達はその本棚に自ずから収まってゆく。背表紙を宇宙の外側へ向けて。」
「質蔵の瓦屋根の上、六本の脚でがっしりと棟をまたぎ、白じらと映える翼をゆったりとはためかせる象が、冴えざえと立ちつくしていた。」
本・知識にかかわる言葉もいい。
「万巻の書物を前にして、途方に暮れる、という心境こそが短命無力な人間として本来的な姿勢であり、――結局、與次郎は書物と喰いつ喰われつの果てしない格闘を生涯にわたって継続することを選択した。」
與次郎とミキの手紙のやり取りのところは、素直で温かく、ほっとする。
いろんな感情が次から次へと押し寄せてくる一冊。
タイトルは刺激的だが、内容の主眼ではない気もする。続きを読む投稿日:2023.10.31
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